いつも社内に集まって取っていたコミュニケーションや報連相が、各々の自宅からに置き換わる。
テレワークの登場で、従来の業務管理方法が合わなくなっていると感じている方も多いことでしょう。
この記事では、中小企業がテレワークを導入する際の業務管理のコツを、ITコーディネーターの視点から解説します。
テレワーク中の業務管理を円滑におこなう秘訣は「●●化」です。
むしろこの方法は、通常業務に戻ってからも有効な考え方であり、これまでの業務のボトルネックの洗い出しに繋がります。
ぜひ参考に、この先をお読みください。
テレワークの業務管理における2大課題
厚生労働省の調査によると、テレワークを導入した企業が業務管理で課題としている点は、次の2つです。
- 労働時間管理
- 進捗管理
※厚労省「雇用型テレワークの現状と課題」から引用
出社・退社という概念がないテレワークでは、個々の従業員が「いつからいつまで働いて、どのくらい作業をしたのか?」という具体的成果が見えづらい側面があります。
そのため、長期間労働になりやすかったり、仕事とプライベートの切り分けができずに業務効率が下がったりなどのデメリットに、多くの企業が頭を抱えています。
テレワークの業務管理は、この「見えない部分をいかに見える化するか?」というのがポイントです。
テレワークの業務管理はシステムに任せたほうが効率的
テレワークの業務管理のコツは、
- 誰が
- いつからいつまで働いて
- どのくらい成果を上げたのか
を徹底的にシステムで「見える化し、共有すること」です。
社内ではすぐに取れていたコミュニケーションが、テレワークでは取れない。
ホワイトボードなどで管理していたタスク進捗状況が、テレワークでは見られない。
そんな「遠隔だからこその弊害」を乗り越えるために、管理職の方があくせくと個々の社員に連絡を取って回るのは非効率的です。
余計にマネジメントコストがかかってしまう結果になりかねません。
それよりも、業務状況を見える化できるシステムを使い、素早くプロジェクトの進捗状況が確認できる体制にしていくことが、テレワークを成功させるポイントとなります。
労働時間管理(勤怠管理)におすすめのシステム
①ジョブカン
【主な機能】
出退勤管理/シフト管理/休暇・申請管理/会計・給与ソフトと連携/超過労働に対するアラート機能 など
社会保険労務士監修の機能を搭載した、勤怠管理システムです。
社員の打刻状況(出勤・休憩・退勤)がリアルタイムに管理でき、時間になっても出勤打刻がない場合などはアラートメールで知らせることができます。
給与ソフトとも連携可能なので、勤怠管理と給与管理がシームレスになります。
シンプルな操作性のためIT初心者の方でも使いやすく、運用が定着しやすいでしょう。
使いたい機能だけ選んで低額で運用をスタートできるのも特徴です。(1機能、1ユーザーあたり200円/月)
②Qasee(カシー)
【主な機能】
生産性可視化機能/業務内容可視化機能/負荷状況ヒートマップ機能/チーム比較可視化機能/AIによる業務状況レコメント機能 など
個々のパソコン操作を可視化できるシステムです。
いつ稼働しているのか?どのような作業をどんな操作で、どのくらいの時間で終わらせているのか?などがグラフ化されるため、テレワーク中の従業員の時間管理はもとより、意識付けにも役立ちます。
また、誰にタスクが集中しているのか?業務のボトルネックは何か?まで分かるため、チーム全体でタスクを適切に振り分け、生産性を上げていくことができます。
進捗管理(タスク管理)におすすめのシステム
backlog(バックログ)
【主な機能】
ガントチャート機能/タスク割り振り、期限通知機能/ファイル共有機能/チャット機能 など
プロジェクトの内容をガントチャート(工程表)にし、チームで共有できるのが特徴。
誰が何のタスクを担当していて、期限はいつなのか?個人ベースでのタスク管理はもちろん、プロジェクト全体の流れも見える化されるため、テレワークでの進捗管理には最適なシステムです。
チャット機能も付いているため、チームメンバー同士のコミュニケーションも図れます。
Web制作やソフトウェア開発など、すでにテレワークが文化として根付いている業界に受け入れられているのも信頼できるポイントです。
【その他】顧客管理ができるシステム
Ever Office(エバーオフィス)
【主な機能】
通話履歴・通話録音・多支店間転送・内線・時間外応答などの履歴を顧客情報と紐付け管理できる
テレワーク業務の中に電話での顧客対応が含まれる場合、顧客とのコミュニケーション履歴を共有することも重要です。
誰がどの顧客をどこまでフォローしているのかが分かれば、営業活動をスムーズに進められるからです。
Ever Officeは、電話履歴を一元管理された顧客情報と自動で紐付けるシステムです。
改善点や力を入れるポイントが明確になるため、テレワークであろうとも質の高い業務管理ができるようになります。
コミュニケーションによるモチベーション管理は人の役目
テレワーク中の業務管理に役立つシステムの中には、個人のタスク進捗状況を見える化できるものもあります。
それらを使えば、社員のモチベーションはある程度は管理できるでしょう。
しかし、やはり最初に
- そもそもこのプロジェクトの目的は何なのか?
- 目標に達成するまでの道筋は?
- 個々のタスクには何の意味があるのか?
が部署やチームメンバーで共有されていることが重要です。
そしてそれらを、継続的なコミュニケーションによって確認し合う環境も、円滑な業務遂行には必要です。
何のために今、目の前の仕事をやっているのか?意味が分からない状態では、自宅で仕事をする環境のテレワークにおいて、社員のモチベーションが上がりづらいからです。
テレワークでは、コミュニケーションが対面からオンライン上になるため、Web会議ツールが役に立ちます。
【参考記事】リモートワークに最適なWeb会議ツール18選を徹底比較!
労務時間管理や進捗管理の手数がシステムによって減った分、マネジメントに当たる方は「社員のフォローアップ」に気を配りましょう。
テレワークでは社員同士が同じ空間にいない分、より細やかなコミュニケーションが大切です。
チャットやオンライン会議などを定期的に開催するなどして、チームの一体感を醸成していきましょう。
まとめ
テレワークで業務管理をするコツは、システムを使った徹底的な「見える化」です。
時間やタスクを属人的に管理するより、正確でスピーディーだからです。
システムを使えば、
「(成果物はあまり出ていないが)長時間働いているから評価が高い」
「(効率的に仕事をしているのに)労働時間が短いから評価が低い」
「Aさんに負担がかかっているから、Bさんにタスクを移動させよう」
などと言った、間違った評価を正したり、業務全体のバランスを取ることにも繋がります。
自社の業務全体を俯瞰するためにも、ぜひ導入を検討してみましょう。
この記事では、テレワークを導入した際の「業務管理方法」についてお伝えしていきます!