リモートワークの導入事例|失敗例2つと成功例8つから見る導入のコツ

IOT Naviの前田
こんにちは!全国の中小企業の業務をIT・IoTで安全快適にするお手伝いをしています、IOT Navi®の前田です。

この記事では、リモートワークを導入して成功する企業と失敗する企業の違いについて、実際に導入している企業の事例とともにお伝えしていきます!

近年、働き方改革として日本でもリモートワークが推進されています。

それに加え、新型コロナウイルスによる影響に伴い、急激にリモートワークを導入する企業が増えました。

 

リモートワークは、仕事の生産性向上や、一人一人に合った働き方が実現できると言われていますが、企業によっては導入して成功する場合と失敗する場合があります。

その違いは一体なんでしょう?

 

この記事では、リモートワークを導入して失敗する理由や原因について、成功するためにはどうすればいいか?実際に導入して成功している企業の事例とともにお伝えします。

リモートワークの導入を検討している方は、円滑にうまく活用するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

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リモートワーク導入が失敗となる理由

リモートワークは、企業や社員にとって様々なメリットがある一方で、マイナスになってしまう面もあります。

まずは、どのような失敗が起こりうるかを把握しておきましょう。

以下は、リモートワークでよくある失敗例です。

  • コミュニケーション不足
  • 環境の不備
  • 社員の自律性が乏しい

コミュニケーション不足

最も大きな失敗となりやすいのが、社員同士のコミュニケーション不足です。

オフィス勤務ならば、出社した社員同士が顔を合わせて直接会話をしたり、情報の共有や質疑応答もスムーズにいきます。

お互いに意思疎通がしやすいので、良いチームプレーの状態で業務をこなすことができ、上司も部下の仕事に対する姿勢や業務の進歩状況などを直接目で見て確認することができます。

そのため、勤怠管理や人事評価もしやすいというメリットがあります。

 

しかし、リモートワークでは直接顔を合わす機会が大幅に減少して、コミュニケーションが取りにくい状況になります。

上司への報告・連絡・相談がしにくくなったり、部下の様子が目で見て伺えないので、人事評価が難しくなります。

 

また、リモートワークではメールかチャットのやり取りが増えます。

そのため、オフィス勤務では質問に対してすぐに返答をもらえても、リモートワークだと返答までのタイムラグが生じやすく、社員同士の情報共有が進まないという問題も起こります。

その結果、仕事のミスに繋がったり、なかなか業務が片づけられないという事態にもなりかねません。

 

環境の不備

リモートワークでは、パソコンやタブレットなど、ネットワーク通信が行える端末や環境が必要不可欠です。

社員一人一人が自宅で使える端末が必要となりますが、個人で持っていない場合は会社から支給するか、個人で新しく買わなければいけません。

また、自宅にネットワーク環境がない社員は、まずネットワーク環境を整えなければいけないなど、リモートワークに適した環境でない場合、様々な事前準備が必要となります。

 

特にネットワーク環境やセキュリティが整っていないと、情報漏洩などの問題に繋がります。

カフェなどの公共の場で利用できる無線LANは、セキュリティ対策がされていない場合も多く、通信内容が傍受されてしまうことがあります。

また、自宅の場合でもWi-Fiでパスワードを設定していなかったり、ルーターのパスワードが初期値のままだと情報漏洩リスクが高まります。

リモートワークは、社員一人一人がセキュリティに対しての対策をしっかりとらなければ、顧客情報や社外秘の情報などが盗まれてしまうといった危険性も高いのです。

 

社員の自律性が乏しい

「仕事とプライベートの切り替えがうまくできない」

「ついダラダラと長時間仕事をしすぎてしまう」

リモートワークではこのような懸念もありますが、これには社員の自律性が関わっています。

 

自律性の高い社員というのは、 以下のような特徴が挙げられます。

  • 決断力や判断力がある
  • 責任感が強い
  • 周りに流されない

 

自律性が高ければ、オフィス以外の場所でも「自分は何をすべきか」ということを考えて答えを出し、周りの環境に流されずに仕事をすることができます。

しかし、自律性が乏しい場合は、自分で判断して動くことも難しく、仕事とプライベートのメリハリもつけにくくなり、業務が全く捗らないという問題も起こりやすいです。

 

誰からも見られていないので、ついテレビを観たり、スマートフォンをいじったりと、仕事以外のことへ気が行ってしまいがちです。

その結果、業務の効率や質が大きく低下する恐れもあります。

 

リモートワーク導入の失敗事例

ここで、実際にリモートワークを導入して失敗した事例をご紹介します。

米Yahoo!の失敗事例

アメリカでも早い段階で在宅勤務が導入されていましたが、2013年に米Yahoo!は在宅勤務を禁止しました。

その理由として、

  • 業務の質の低下
  • 勤務時間中の副業
  • 別の会社を経営を始める
  • 仕事を下請けに流す

このような問題が起こったからです。

社員の勤務態度はもちろんのこと、マネージャーなどの管理者が、リモートワーカーを野放し状態にしていたという、ずさんな管理が大きな失敗要因となっています。

 

米IBMの失敗事例

米IBMは、2009年にはすでに約40%の社員がリモートワークを行うなど、在宅勤務を推進する企業の1つとして注目されていました。

しかし、2017年には在宅勤務を禁止しています。

明確な理由は発表されていませんが、「コミュニケーション不足」が原因だと言われています。

 

リモートワークは、柔軟な働き方ができる一方、社員同士のコミュニケーションが取りにくくなります。

しかし、大きな仕事を完遂するには、チームでの協調性が必要です。

それにはやはり、在宅勤務だと意思疎通が難しいなどといったコミュニケーション不足に対して、会社側が危機感を感じて禁止した可能性も考えられます。

 

 

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リモートワーク導入失敗の大きな原因は?

米Yahoo!や米IBMの事例から、リモートワークの失敗となる大きな原因は”マネジメントに問題がある”ということがわかります。

リモートワークでは、オフィスで社員に対して行っているマネジメントをそのまま適用することが難しいです。

上司が部下を直接管理できないので、リモートワーク向けにマネジメントを工夫する必要があります。

 

例えば、企業側が社員に対するマネジメントで不可欠なのは「業務の管理」「部下の管理」です。

オフィス勤務なら直接上司が目で見て確認することができますが、リモートワークでは直接見ることができません。

そのため、Web会議システムファイル共有ツール、気軽にやり取りができる社内SNSなどのITツールを活用し、遠隔でもコミュニケーションが取れるようにすることが重要です。

 

また、社員の労働時間や実態を把握できる仕組み作りも必要です。

社員が働きすぎたり、さぼったりしないよう管理するためにも、勤怠管理システムや、実際に働いた時間を管理するログ管理などのITツールを導入するといいでしょう。

 

そしてもう1つ大事なのが、セルフマネジメントです。

自分自身の感情のコントロールやスケジュール管理、個人が自立して主体的に行動できるようになるためにも、セルフマネジメント能力が必要です。

 

しかし、セルフマネジメントがうまくできない社員は、モチベーションに波があったり、スケジュール管理が苦手、主体的に考えて積極的に行動することができない、といった特徴があります。

リモートワークでも、つい仕事以外のことに流れてしまうという場合は、セルフマネジメント能力が低いからと言えるでしょう。

そういった社員には、上司から直接管理されることのないリモートワークは向いていません。

 

リモートワークを成功させるためのポイント

リモートワークを導入して成功させるためには、3つのポイントがあります。 

  1. 目的の明確化と共有
  2. ルールと環境の整備
  3. 社員の意識を高める

目的の明確化と共有

まず一番大事なのは、リモートワークを導入する目的を明確にすることです。

「リモートワークの導入そのもの」を目的化するのではなく、「リモートワークを導入してどのような効果を得たいか?」という視点から目的を定めることが必要です。

(※官公庁はテレワーク、IT業界ではリモートワークと呼ぶことが多いです)

 

(引用:厚生労働省 「テレワークで始める働き方改革」

自社がリモートワークを導入する際に目的とすることは何でしょうか?

目的を明確化し、経営トップや人事・総務、従業員など、会社全体で目的を共有することが成功の鍵です。

 

ルールと環境の整備

目的を明確化したら、リモートワーク対象者や、業務対象の整理をすることがポイントです。

リモートワークで実施しやすい業務と実施しにくい業務に分けて、リモートワークでできる業務を特定しましょう。

その上で、業務に必要なITツールの導入をおすすめします。

目的や業務に適したITツールを活用することで、円滑なリモートワークが行えます。

 

また、リモートワークでのルール作りも必要です。

労働基準法などの労働関係法令を遵守し、リモートワーク時の労務管理(労働時間や労働条件など)、セキュリティについてのルールを定めましょう。

 

社員の勤怠状況管理は必須です。

勤怠管理システムやスケジュール管理ツール、ビジネスチャットツールなどを活用して管理を行いましょう。

セキュリティに関しては、社員が個人でしっかり防御策がとれるように、セキュリティ対策ルールなどを設けて、セキュリティに対しての正しい知識を身に着ける必要があります。

 

また、リモートワークの環境を整えるには、本格的な導入前に小規模なトライアル(試験的導入)を行うのもおすすめです。

何度か試験を繰り返すことで課題が浮き彫りになります。

その上で必要な環境を整えたり、リモートワークのノウハウを積み上げて改善していくことができます。

 

社員の意識を高める

米Yahoo!や米IBMの失敗事例をみてもわかるように、リモートワーク導入にはマネジメントが重要です。

まずは、上司がリモートワークに対してポジティブに捉えられるか、リモートワークへの理解がいかにあるか、ということも活用のポイントとなります。

 

その上で、上司が部下のマネジメントを行い、メールやチャットツールなどのコミュニケーションツールを利用して、社員の意識を高めてあげる必要があります。

勤怠管理だけでなく、孤独感を感じていないか?心身ともに健康か?などを確認するためにも、頻繁にコミュニケーションを取りましょう。

 

また、リモートワークでは特に、社員一人一人のセルフマネジメント能力が求められます。

なので、社員がセルフマネジメントスキルを身に着けられるような研修などを検討してみるのもいいでしょう。

 

リモートワークを導入して成功した企業の事例

実際にリモートワークを導入して成功した企業をご紹介します。

日産自動車

(引用:日産自動車公式サイト)

日産自動車は、一人ひとりのライフスタイルや価値観を尊重し、それぞれが最大限の能力を発揮できるよう、多様な働き方を取り入れています。

早い段階でリモートワークを導入し、2014年には在宅勤務の利用上限を月40H時間利用できるように拡充しました。

 

その結果、一人ひとりの働く時間の選択肢が広がり、生産性や効率化の向上を実現することが可能となりました。

より多くの従業員が、在宅勤務を経験して成果を出すことができるよう、在宅勤務に対するフォローも積極的に取り組んでいます。

参照:日産自動車「仕事と生活の両立」

 

リクルートホールディングス

(引用:リクルートホールディングス公式サイト)

リクルートホールディングスでは、「個の尊重」の実現を目指し、場所にとらわれない働き方へ挑戦するなど、一人ひとりの従業員が情熱をもって業務に取り組める環境づくりが大切にされています。

子育てや介護を抱えている従業員はもちろんのこと、すべての従業員が柔軟に働けるよう、リモートワーク導入フレックスタイム制副業などのさまざまな制度やプログラムが導入されています。

 

リモートワーク導入に伴い、ビジネスチャット、クラウドストレージ、経営会議のオンライン化などを取り入れ、生産性向上へ取り組んでいます。

また、オフィス本社内にオープンカフェスペースを設立するなど、場所や時間に捉われない働き方を提供し、従業員に働きやすい環境を与えていることがわかります。

参照:リクルートホールディングス「グループ各社の取り組み」

 

日本航空

(引用:日本航空JAL公式サイト)

日本航空は、社員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスを重きに置いています。

余暇の充実・自己啓発・健康的な生活などを促進することで、多様な人財がその力を十分に発揮できるよう、様々な制度の充実を図り、2015年度にリモートワークも導入されました。

 

2016年度には、在宅勤務の利用件数が約5,200件とどんどん伸びています。

当初は女性や一般職の人が利用するだろうと思われていましたが、実際は約7割が男性で、約3割が管理職となっています。

全社員が活き活きと活躍できるよう、新しい働き方の導入が継続されています。

参照:日本航空「ワークスタイル変革」

 

東急リバブル

(引用:東急リバブル公式サイト)

東急リバブルでは、2016年からリモートワーク(在宅勤務)制度が導入されています。

2015年6月~8月までに各部門でトライアルを実施し、対象者の70%が「業務効率が上がった」と回答しています。

その結果、リモートワーク制度は生産性向上やワークライフバランスに有効だと考えられ、本格的に制度が導入されるようになりました。

 

東急リバブルのリモートワーク制度は、週に1~2回、月6回を上限とされています。

テレワークに適した業務を切り出して、自宅にて集中して行うことができ、時間と場所に捉われない柔軟な働き方が可能。

情報漏洩防止のために、データを外部のサーバーで集中管理して、端末に残さないクラウドの仕組みを使ったパソコンを新たに導入するなど、セキュリティ対策もしっかりされています。

参照:東急リバブル「ニュースリリース」

 

カルビー

(引用:カルビー公式サイト)

カルビーは、生活(ライフ)の充実こそが、仕事(ワーク)に好影響を及ぼし、それが生活のさらなる充実につながるという考えのもと、「ライフワークバランス」を大切にしています。

これに加え、ITインフラの刷新・活用を行い、業務効率とパフォーマンス向上を目指し、ライフとワークのどちらも最大化にするため「ライフワークインテグレーション」を目指しています。

 

2014年に、自宅で週2回までの在宅勤務制度を導入。

2017年には、勤務場所や回数を制限しないモバイルワーク制度も導入されています。

その他、半日休暇制度やペーパーレス化など、多様な働き方・効率的な働き方を支える仕組みを取り入れ、誰もが働きやすい環境づくりが行われています。

参照:カルビー「多様性を活かした全員活躍」

 

株式会社カネボウ化粧品

(引用:株式会社カネボウ化粧品公式サイト)

カネボウ化粧品では、仕事や育児と介護との両立を支援しています。

2008年には、在宅勤務制度が導入。

「一定の条件を満たしている育児・介護責任を有する従業員を対象に、1日あたりの所定労働時間の60%とする在宅勤務を利用することを可能とする」といった制度です。

 

在宅勤務制度の他、育児休暇制度、子ども看護休暇制度、介護休暇制度など、子どもや家庭をもつ女性でも働きやすい環境が整えられています。

参照:株式会社カネボウ化粧品「多様な働き方を応援」

 

ローソン

(引用:ローソン公式サイト)

ローソンでは、女性や外国人の採用を積極的に行い、活躍できる環境を整え、女性躍進推進に力を入れています。

育児と仕事の両立支援策として、小学校3年生以下の子どもをもつ社員が希望した場合、週上限4日までの在宅勤務が可能な在宅勤務制度が設けられています。(ただし、勤務1年以上の社員に限る)

 

また、育児休職中でも社内情報を閲覧できるよう、育児休職者へのIT機器(ノートパソコン)貸与による情報提供が行われており、育児休暇が終わってからも、仕事に復帰しやすい環境づくりがされています。

参照:ローソン「女性の活躍推進」

 

積水ハウス株式会社

(引用:積水ハウス株式会社公式サイト)

積水ハウスでは、働き方改革の一環として、在宅勤務を2013年に施工開始、2015年には本格的な運用が始まりました。

2017年に「在宅勤務規則」が制定され、育児休業中の従業員を対象に、本人が希望し、かつ事業所でその必要性があることを要件として「育児休業中の業務サポート(在宅勤務)」の実施も制度化。

 

育児や介護、妊娠、傷病、障害によって通勤が困難な従業員が対象で、自宅など仕事に専念できる場所での勤務が可能です。

勤務時間は通常通り(午前9時から午後6時、休憩1時間5分)となっています。

在宅勤務を実施することで、ワークライフバランスの実現や、業務生産性の向上を目指しています。

参照:積水ハウス株式会社「働き方改革仕事と育児の両立サポート」

 

その他、中小企業におけるリモートワークの導入事例があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

>>東京テレワーク推進センターテレワーク実践事例

まとめ

リモートワークの導入で成功する企業と、失敗する企業の違いについてお伝えしました。

まず大事なのは、リモートワーク導入の目的を明確化すること。

そして、導入のために必要となるITツールや、セキュリティ対策、ネットワーク環境を整えることです。

こういった準備を十分に整えているかどうかで、リモートワークが円滑に活用できるかに影響してきます。

 

リモートワーク導入にしっかり対応できる土台作りを行い、会社全体で目的を共有し、一人ひとりが意識することが重要です。

新しい働き方、柔軟な働き方を取り入れ、さらなる躍進を目指しましょう!

 


 

 

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