デジタル化、IT化が進み、ビジネスでも主要なインフラとなってきているネットワーク。
頻繁に更新したり、見直しが必要なものではありませんが、コスト面での課題がある企業もあるのではないかと思います。
また業績が伸びたことによってオフィスの拡大したり、テレワークの推進によってオフィスを縮小、また移転などをきっかけにネットワーク環境を見直す場合もあるのではないでしょうか。
今回は、安定したネットワーク環境を実現させるためにチェックしておきたいことをご紹介します。
今のネットワーク環境を見直したり、オフィスの移転などによってネットワーク環境を変える機会のある場合は、参考にしてみてください。
ネットワーク環境とは
ネットワークとは、「社内のパソコンや複合機、複数の電子機器などを繋ぐネットワーク」のことを指します。インターネットとも繋がっていることが一般的です。
社内でネットワークを構築することにより、情報やデータ、機器の共有が可能となり、業務の効率化や通信費の削減に繋がります。
企業にとってネットワークはどんな業務をする際にも欠かせなくなりました。ひとたびネットワークが繋がらなくなると、業務停止などの最悪な事態を招いてしまう恐れがあるため、安定したネットワーク環境が必要になります。
しかし、ネットワークを切り替えるための作業には一定期間の業務停止期間が必要になるので、簡単に変えることができないものになります。
そのため、見直しをする際には自社の環境に合わせて、 ネットワーク環境を見直す際にコストや障害対策における課題を解消し、安定したネットワークを構築する必要があります。
ネットワーク環境構築コスト
ネットワークを構築するためには必要な機器や回線などの使用料がかかります。
具体的にどのようなものが必要なのかを解説します。
ネットワークを構築するために必要なもの
ネットワークを構築するためには、いくつか必要な機器があります。ここでは、一般的に必要とされる機器について解説します。
パソコン
パソコンは「個人専用で使用」または「複数で共有」のいずれか、またはその両方を選択することになります。また、ノート型かデスクトップ型か、用途やオフィス環境によって判断は変わってくるでしょう。
どのような社内ネットワークを構築するのか、あらかじめきちんと考えた上で、用意するパソコンやその台数、構築するパソコン環境を決めていきましょう。
複合機・プリンター
社内資料などを印刷するために利用する複合機やプリンターも、社内ネットワークを利用して、どのパソコンからでも利用できるようにすれば、保有する台数を減らすことができるので、コスト面でメリットがあります。
しかし、共有の複合機やプリンタが何らかの理由で使えなくなってしまった時は、当然共有している全員に影響が出ることになります。
印刷する頻度が高い場合や、万が一印刷できない場合業務に大きな損害が出る場合は、予備を置くなどのバックアップ体制も必要でしょう。
サーバー
サーバーは、ファイルやメール、ホームページの情報を管理するものです。社内ネットワークを構築する上で大変重要なもので、容量や性能に応じて様々な製品があります。
業務に必要なファイルやメールをサーバ内で管理し、社内ネットワークからのみアクセス可能な体制にすると、セキュリティ対策になります。
重要な情報を保管するものですので、サーバにトラブルが発生した場合に備えて、複数のサーバを用意するなどのバックアップ体制も必要です。
ルーター
パソコンをインターネットやLANに繋げるための機器です。外部からの侵入を阻止する仕組み(ファイアウォール機能)を備えたものが一般的となっています。
LANケーブル
LANケーブルは、有線LANで社内ネットワークに接続する際に必要なものです。
ケーブルの一方をルーターやハブにつなぎ、もう一方をパソコンに繋ぐことで、インターネットや社内ネットワークにアクセスすることができます。
LANケーブルは、その種類によって通信速度が異なります。通信速度が速くなるほど、また、ケーブルが長くなるほど、LANケーブルの価格は上がります。用途にあったLANケーブルを選びましょう。
Wi-Fi
社内でWi-Fi環境を構築するためには、アクセスポイントが必要です。
アクセスポイントとは、皆さんがWi-Fiと呼ばれている機器の正式名称であり、無線電波(Wi-Fi)を発信する為の設備です。
導入にあたって大切なことは、利用する人数、端末数の把握です。アクセスポイント1台当たりの接続端末数が多いと、電波が安定せず通信障害が起きやすくなります。アクセスポイントの台数は、利用人数やデバイスが将来増えることも想定して、十分な余裕をもたせた構築が望ましいでしょう。
ハブ
ハブは、ルーターとパソコンを中継する機器です。ハブを経由することで、1つのルーターと複数の電子機器を繋ぐことができ、それぞれの電子機器が同時にネットワークに接続できます。
そのため必要なハブの数は、パソコンなどの電子機器の数によって変わります。
また、ハブに備えられているLANポート(差し込み口)の数や、通信速度、電源の供給方法(電源内臓型/外部電源型)なども、ハブの機種によって異なります。
LANケーブル同様、用途や使用する状況を考慮して、適切なものを選ぶ必要がありますが、今後のPC台数も加味して「いかに少ないHUBで設計構築できるか」といったことがポイントです。
ネットワーク環境を構築するのにかかるコスト
ネットワーク環境を構築するには、初期費用だけでなく、毎月のランニングコストがかかります。
基本回線使用料の他にも、サービスによって中継回線やONU(光回線終端装置)などの使用料が加算され、コストが高くなりがちです。
近年では回線サービスの低価格化が進んでいますが、単にコスト面だけを重視することはできません。
機器・回線への負担などにより発生するパケットロスや、遅延(レイテンシ)といったネットワークの品質を疎かにしては、安定した業務遂行は望めないためです。
コスト削減の余地があるか見極めるために、現在使用しているネットワークが自社の求める要件と合致しているか見直す必要があります。
そのためには、ネットワークの提供形態やアクセス回線の特性を検討する必要があります。
提供形態としては主に、専用線接続型とマルチコネクト型があります。
専用線型は特定の拠点間を直接1対1で接続するため、低レイテンシ・高速・セキュリティが高いといった特徴があります。
それに対してマルチコネクト型は、複数の拠点からの接続を一つの網にまとめ、あたかも全拠点が相互に接続されているような接続形態を提供し、3拠点以上で接続する場合は専用線型より安価になるケースもあります。
一方、それぞれの接続方式において、その回線網を支える物理的な回線自体も品質と価格に大きな影響を与えます。
中には回線を他加入者と共有することで低コストを実現するサービスもあります。
ただし、共有率が高くなることで回線の混雑が度々発生することを考慮しなければなりません。
よりコスト削減を重視するならば有効な選択となりますが、注意すべきポイントでもあります。
接続拠点が首都圏など一定の範囲に限られる場合は、品質は維持しつつも地域に特化した回線を使用することでコストを抑える選択肢も考えられます。
しかし、域外との接続が発生した場合は逆に高額となるケースもありますので、注意が必要です。
大事なのはコストと品質のバランス
ネットワーク環境を構築するときに重要になってくるのは、コストと品質が自社の環境と合っているかを検討することです。
コスト面を重視しすぎると品質が自社の環境に合わずに安定した接続ができなくなる場合もあります。
また、品質を重視しすぎるとコストが増加してしまい、必要以上の経費がかかってしまう原因にもなってしまいます。
自社の規模や業務などを踏まえた上で、どれくらいの品質が必要か、ネットワークの維持にかけられるコストはどれくらいかを検討する必要があります。
その上で、必要な品質が保たれているかを様々なネットワークサービスと照らし合わせ、コストとのバランスを取ることが大切です。
ネットワーク環境の冗長化
ネットワーク環境を安定させる方法の一つとして、冗長化があります。
冗長化とは、一般的に「無駄が多い」「余分」「重複」といった意味を表しますが、ITにおける冗長化とは、例えばパソコンに何らかの障害が発生した場合に備えてパソコンと同じものを予備システムとして準備しておくことをいいます。
よく二重化、三重化とありますが、二重化とは万一に備えて同じシステムを2つ準備しておくことで、本体と別に予備システムが1つあると二重化、2つあると三重化になります。
冗長化は、予備システムが複数あることを指し、二重化も三重化もそれ以上予備システムを持つことも冗長化と言います。
システムやサーバーを冗長化する必要性は、パソコンに何らかの障害が発生した場合に備えてパソコンと同じものを予備システムとして準備しておくことです。
その理由として
・CP策定が重要視されているため
・システムの可用性を高めるため
・サーバーの負荷を軽減するため
の3つが挙げられます。
BCP策定が重要視されているため
システムやサーバーを冗長化する必要性の一つ目は「BCP策定が重要視されているため」です。
BCP対策のBCPとは、事業継続計画のことで、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合、できるだけ早く復旧しなければ取り返しのつかない事態になる可能性が高くなります。
特に医療機関や金融機関は、緊急事態でも生活に関わってくるため、1秒でも早く復旧させなければなりません。
そのため、どんな状況になっても予備システムですぐに復旧できるようシステムやサーバーを冗長化する必要性があります。
システムの可用性を高めるため
システムやサーバーを冗長化する必要性の二つ目は「システムの可用性を高めるため」です。
可用性とは、システムが異常なく継続的に稼働できる能力のことをいいます。
システムの可用性が高いということは、万一のときでも予備システムですぐに復旧し、安定した稼働が見込めるということです。
バックアップだけでは、復旧に時間がかかります。その点、冗長化であれば、同じシステムが一つ以上存在し、入れ替えることにより素早く復旧の対応ができ、システムの可用性を高めるため、システムやサーバーを冗長化する必要性があるのです。
サーバーの負荷を軽減するため
システムやサーバーを冗長化する必要性の三つ目は「サーバーの負荷を軽減するため」です。
何らかの要因でアクセスが集中するとサーバーに負荷がかかり、安定した稼働ができなくなることがあります。一つのサーバーで情報を処理しようと思うとサーバーアウトしてしまうかもしれません。
冗長化をしていれば、仮に一つのサーバーにアクセスが集中して負荷がかかっても、冗長化されたサーバーが別々に情報を処理します。このように分散して処理できるようになるため、システムやサーバーを冗長化する必要性があるのです。
まとめ
ネットワーク環境は、頻繁に変えるものではないからこそ、見直す機会のある時に自社にあったものを選ぶ必要があります。
そのポイントとして
・自社のコストと必要な品質のバランスを取る
・冗長化する
になります。
自社の環境にあったネットワーク環境を構築することで、自社の業務効率化などにつながります。