
顧客管理システム(CRM)とは?

顧客管理システム(CRM)は、顧客情報を最大限に有効活用し、次の販売戦略を立てやすくする目的で使われるツールです。
紙やエクセルシートで作られた顧客リストと違い、「いかに情報検索をしやすくするか?」に力を入れて設計されています。
そのため、たくさんの情報を見やすく表示し、特定の顧客の情報が簡単に検索できます。
また、「情報の一元管理」も大きな特徴のひとつです。
一昔前の顧客管理と言えば、担当者が各々のパソコンにエクセルで作った顧客リストを持ち、自分の担当の顧客のみのフォローをしていくというやり方が一般的でした。
それに対して顧客管理システム(CRM)は、組織全体の顧客情報をまとめてデータベース化し、関係者全員で共有できる仕組みになっています。
これにより、いつ・どんな顧客に対してでも質の高い対応ができ、顧客満足度や単価アップにつながります。

- 顧客名
- 連絡先
- 購入履歴
- 現在商談中の内容
- 現在のフォロー状況
- クレーム履歴
- 商談に成功したときに使用した営業資料やトーク
- 性格
などです。
何をいつ購入したか?という定量的情報だけでなく、性格や効果的なアプローチなどの定性的情報も記録してチームで共有できます。
そのため、
「顧客Aさんに対して、次はどんな商材を提案するのがベストか?」
「顧客Bさんには、どのようなアプローチが有効か?」
「顧客Cさんの電話フォローは何ヶ月ごとが適切か?」
といったように、1人1人に対して最適な提案を導き出せます。
顧客管理システム(CRM)でできること

顧客管理システム(CRM)は、「積み上がった顧客データから隠れたビジネスチャンスを見つけ出し、売上げを最大化する」目的のツールです。
そのため、営業を支援するさまざまな機能が搭載されています。
【顧客管理システムに付いている基本機能の例】
◆顧客管理機能
氏名や年齢・性別、連絡先、購買履歴といった基本的な情報から、性格や購買につながったアプローチなどの細かい情報まで記録して管理する機能です。
項目を自由に設定して入力することができます。
登録された情報は社内全体で共有できます。
◆情報検索機能
期間検索・数値検索・フリーワード検索など多様な方法で、記録された顧客情報の中から必要なデータを見つけ出せる機能です。
例えば、一定期間以上訪問していない取引先のみを抽出し、早めに対策を打つなどの戦略立てに使えます。
◆集計機能
条件を指定するだけでデータを自動集計できる機能です。グラフなども簡単に作ることができます。
◆業務プロセス管理機能
業務の一連の流れや担当者ごとのタスクを管理し、チームで共有できる機能です。
目標のペースに対して現在どこまで業務が進んでいるのかが一目で分かります。
◆メール配信機能
顧客宛に送信するメールを管理できる機能です。キャンペーン情報などを一括配信したいときに便利です。
◆外部サービス連携機能
対応可能な外部サービスと顧客情報を連携することができます。
例えば、電話システムと連携して、着信と共に顧客情報をモニターに表示させたり、POSと連携して販売データを顧客情報に取り込むなどです。

クラウド型とオンプレミス型
顧客管理システム(CRM)には、WEBサービスとして利用する「クラウド型」と、システムライセンスを買い取って自社のサーバーで運用する「オンプレミス型」があります。
メリット | デメリット | 費用 | |
クラウド型CRM |
|
プランによって機能制限がある |
ユーザー数や使用する機能に合わせた月額制 (1ユーザー当たり月々数千円ほど) |
オンプレミス型CRM |
|
|
|

オンプレミス型よりもカスタマイズの自由度は落ちますが、それでもたくさんの機能が使えるため不自由はほとんど感じません。
また、システム運用担当者を付けなくてもいいところは、IT人材不足の企業でも負担がかからず導入しやすいポイントとなります。
顧客管理システム(CRM)のメリット
顧客管理システム(CRM)を導入することで得られる主なメリットは、次の3つです。
①隠れていた「売上げ最大化のヒント」に気付くことができる

顧客管理システム(CRM)は、「顧客情報を1つのデータベースにして、細かく分析ができる」のが大きな特徴です。
個別で管理していた顧客情報を1ヵ所にまとめ、属性別に絞り込み検索をかければ、
- 近々購入につながりそうな顧客は全体で何人いるのか?
- しばらく接触がなく関係が薄くなっている顧客は全体で何人いるのか?
- 「A」という商品を購入した顧客は、次にどの商品を購入する傾向が強いのか?
- 高単価の商品はどんなセールストークで売れる傾向が強いのか?
などといった、売上げに直結する分かりやすいヒントを得ることができます。
従来の顧客管理でよく使われてきたエクセルでは、ここまで詳細な分析はできません。
それを営業社員が個別に管理していれば、セールスノウハウなどが共有されず、売上げアップのヒントが埋もれたままの状態になることもよくあります。
情報の一元化と多様な属性で検索できる機能は、顧客管理に特化したシステムならではのメリットです。
②作業の重複が省けミス防止や業務効率化につながる

顧客管理システム(CRM)を使うと、ルーティンワークの分量を減らし業務効率化につなげることができます。
1つのシステムをチームで使うことで、情報共有が最低限の入力作業で可能になるからです。
例えば、他の部署に情報の一部を渡したい時をイメージしてみてください。
よく陥りがちな例として、「情報をコピー&ペーストして新しいワークシートにまとめ直してから渡す」というものがあります。
このやり方では時間がかかりますし、何より手入力やコピー&ペーストの途中でミスが起こる可能性が高まります。
1つのシステムを部署を超えたチームで使えば、1回入力したデータはすぐさま全員に反映されます。
顧客管理システム(CRM)ならではの詳細な検索機能を使えば、その中から欲しいデータだけ抽出することも簡単です。
あれこれ手を動かさずとも情報管理ができる環境を土台とすれば、自然とミス削減や業務効率化につながっていきます。
③業務の進捗状況がリアルタイムで把握できる

顧客管理システム(CRM)は、個々のタスクを含めた業務スケジュールを組み、チームで共有することができます。
さらに、
- タスクの期限が迫ってきたときに通知を出す
- チームメンバーへメッセージを送信する
- 報告や承認がシステム上ででき、履歴が残る
といった特徴もあることから、業務の進捗状況がすぐに分かります。
現在の状況をリアルタイムで把握することは、問題が発生した際の臨機応変な対応につながります。
また、チームメンバーの時間に対する意識の高まりも期待でき、業務全体のスピードアップ化が望めます。

- 顧客情報の集約と分析で、隠れていた「売上げ最大化のヒント」に気付くことができる
- 重複作業による人的ミスや時間のロスを減らし、業務効率化につながる
- リアルタイムの情報共有で業務のスピードアップにつながる
顧客管理システム(CRM)は、ビジネス全体のレベルを上げる土台のような存在です!
顧客管理システム(CRM)のデメリット

顧客管理システム(CRM)は優れたツールですが、当然デメリットもあります。
それは、叶えたいことがハッキリしないまま導入すると、単にコストだけがかかるツールになることです。
顧客管理システム(CRM)を取り入れて活用している企業は、その目的が明確です。
例)
「見込み案件を個別ではなく全体で管理して、眠っているチャンスを掘り起こしたい」
「部署間でデータを連携させて、情報伝達のスピードアップを図りたい」
「社内の情報を集約させて、総合的な観点で経営判断をおこないたい」
このような目的がないまま導入すると、数ある機能の中から取捨選択ができず、使いこなせないツールとなってしまいます。
顧客管理システム(CRM)はどちらかと言えば「情報管理を楽にするツール」というよりも「総合的な業務改善ツール」と言った方が適切です。
そのためには、自社の課題がそもそも明るみになっていることが前提になってきます。

導入を検討する際には、この2点をまずはしっかり考えましょう!
ITが苦手でも使える!操作がシンプルな顧客管理システム3選
顧客管理システム(CRM)を提供している会社は世の中たくさんあり、その数は軽く50を超えます。
見た目、操作方法、機能なども製品によって違いがあるため、これから導入を考えている場合、どれが自社にふさわしいのか迷ってしまうでしょう。
顧客管理システム(CRM)を選ぶ際に重要なのは、
- 社員のパソコンスキルやIT知識のレベルに合った操作性
- やりたいことが実現できるカスタマイズ性
が備わっているかチェックすることです。
少し慣らせば誰でも操作ができるシステムの方が、のちのち活用できます。

①働くDB

顧客管理はもちろん、受発注管理、販売管理など社内のあらゆる情報をデータベース化して連携できます。
データ分析の自由度の高さと正確さに定評があり、業務改善点の発見につながった事例が多数あります。
基本画面がエクセルに似ているため移行がしやすく、特別な知識がなくても柔軟なカスタマイズができるのも魅力です。
加えてサポートも丁寧なことから、中小企業やベンチャー企業に受け入れられているシステムです。
②kintone(キントーン)

顧客管理・案件管理・受発注管理・日報など、普段の業務によく使う入力項目が「アプリ」として100種類以上用意されており、組み合わせることでオリジナルの業務システムを作れます。
もちろん部署を超えた情報共有が可能。
難しいイメージを感じさせないデザインと操作性で、アナログの情報管理が主流だった会社にも抵抗感なく取り入れられています。
③Salesforce(セールスフォース)

世界トップクラスのシェアを誇る顧客管理システム(CRM)で、すでに15万社以上に導入されています。
「大企業向け」「中小企業向け」「小規模企業向け」のように、企業規模別で仕様を選択できるほか、業種別に作られた仕様も用意されており、自社の業務環境にフィットした機能を使うことができます。
設定方法の動画解説や操作トレーニングの実施など導入後のサポートも手厚く、「取り入れたはいいが活用できない」という心配もカバーしてくれます。

システムが自社の風土に合うかどうかは、実際に使ってみて初めてわかるものです。
無料トライアルを上手に利用して、使用感を比べてみるといいですよ。
意外と忘れがち・・・導入前の〇〇の確認!

顧客管理システム(CRM)を導入する前には、必ず確認しておきたいことがあります。
それは「社内の通信環境」です。
現在多くの顧客管理システム(CRM)は、インターネット上にシステムを置く「クラウド型」を採用しています。
つまり、システムにインターネットでアクセスして業務をおこなうことになります。
さて、今までほとんどの情報をインターネットを使わずアナログで管理していた場合。
クラウド型の顧客管理システム(CRM)に移行した際には、たくさんの人数が一気にインターネットを使うようになります。
ここで障壁になるかもしれないのが、インターネットの通信速度(ネット回線の性能)です。
以前は十分間に合っていた回線でも、顧客管理システム(CRM)導入によってインターネット使用量が増せば、対応できずに速度が低下する可能性があります。
動きが遅いシステムを使うことを想像すると、現場のフラストレーションが高まることはすぐに分かりますね。
システムはサクサク動いてこそ業務効率化に効果があります。
クラウド型顧客管理システム(CRM)の導入前には、必ず「快適に使える通信環境(インターネット回線)」を整備しておきましょう。

もしも違いが分かりにくく迷う場合は、専門家のサポートを受けながらおこなう方が安心ですよ。
参考までに、こちらの記事もご一読ください↓
顧客管理システム(CRM)は顧客数が何人になれば使うべきか?

多くの企業では、顧客管理システム(CRM)を使い始めたきっかけを「顧客数が増加してきてエクセルの管理では追いつかなくなってきたから」と答えています。
そのような導入事例を見ていると「顧客数が少ないうちは導入しなくても問題はない」と感じてしまうかもしれません。
しかし、これはあくまでも弊社の見解ですが、顧客管理システム(CRM)導入の目安に「顧客数が〇人になったら~・・・」という定義はありません。
むしろ少ないうちから導入して、「顧客データを分析しやすいカタチで蓄積しておくこと」の方が重要です。
多くの中小企業は、顧客情報は溜まっていても活かし切れていないのが現状です。
氏名・住所・性別・連絡先などの基本情報リストはあれども、誰が、いつ、何を、どんな購入方法で、どんな理由で買ったか?どんなセールストークに反応したか?などの情報がない。
あったとしても、基本情報と結びついていないから分析のしようがない。
そんな例はいたるところで見受けられます。
顧客の行動データ収集や、情報の一元化と分析が遅れれば遅れるほど、データを活用している他社とは差が開いていきます。
サービスが飽和して、どの業界でも必ず同業他社がいる現代では、「お客様の連絡先をたくさん持っている」だけでは差別化になりません。
そのリストを掘り下げて分析し「自社の売れる傾向」という情報を掴めた企業がチャンスを掴みます。
ほんの少しの情報の差が利益に大きな差を生むのです。
顧客情報を始め、販売情報、受発注情報、営業管理情報、クレーム履歴など、社内に集まってくるありとあらゆる情報は、言わばダイヤモンドの原石です。
そのままにしておけばただの曇った塊ですが、磨き上げることで価値が増します。
顧客管理システム(CRM)は、情報の磨き上げをおこない資産にできる重要なツールです。
まだエクセルで管理できる範囲だから・・・と先延ばしにするより、早めの運用で情報価値を上げておくことをおすすめします。
まとめ

- 顧客管理システム(CRM)は、顧客情報を最大限に有効活用し、次の販売戦略を立てやすくする目的で使われるツールである
- 氏名・年齢・性別・連絡先などの基本情報の他にも、どんな購入方法で、どんな理由で買ったか?どんなセールストークに反応したか?などの細かい情報も記録してチームで共有できる
- 部署を超えたデータ連携、外部システムとのデータ連携ができ、あらゆるデータを総合的に分析しながら売上げ最大化のヒントを得ることができる
- 営業管理の機能も担っており、進捗状況やスケジュールがチーム全員で共有できる
- 「何をしたいか?」「どんな問題を解決したいか?」のように、使用目的が明確であれば活用できる
- 社員のパソコンスキルを考慮したり、やりたいことが叶えられるカスタマイズ性を重視して選ぶのがポイント
- クラウド型を採用する場合は、社内のインターネット使用量の増加を考慮して、回線契約の見直しをしておく
- 顧客数が少ないうちから導入し、「顧客データを分析しやすいカタチで蓄積しておくこと」がのちのち武器になる

時代に沿った情報管理術で、ビジネスの速度を上げていきましょう!
顧客管理システム(CRM)導入や、社内の通信環境の整備についてのご相談は、弊社までお気軽にどうぞ!
このページを読んでいるあなたは、顧客管理システム(CRM)の仕組みや機能、メリット・デメリット、使い勝手のいい製品を選ぶポイントなどに興味がありますね?
顧客管理システム(CRM)はその名の通り、主に顧客情報を直感的に管理できるものですが、それ以外にも「これは便利だ・・・!」と思える点がいくつもあります。
その反面で、このシステムが誕生した背景を理解せずに導入しても、なかなかうまく活用できなかったりします。
では、顧客管理システムで実現できることとは一体何なのか?
実際に活用しているシーンを想像しながら、この先を読み進めてみてください!